コンサルタント・メッセージ  




第4回 顧客価値創造経営 − 顧客価値の評価・改善

 顧客価値創造経営の最終回は「評価・改善」についてです。何事もやりっぱなしはよくありません。顧客価値創造のプロセスにおいても、PDCAの管理サイクルが回っていることが必要です。価値創造にとって大切なのは企画や設計業務であると思われますが、それと同時に評価・改善のプロセスが回っていなければ、継続的に顧客価値を創造することはできません。継続性がなければ利益を確保することができないのです。

<「たまごっち」で赤字を出したバンダイ>
 10年ほど前に「たまごっち」が流行しました。一時は需要に対して供給が追いつかずプレミアムがついたほどでした。バンダイは4000万個を販売しましたが結局赤字になったそうです。
新しいゲームを開発し、4000万個もの需要を生み出したということは、まさに顧客価値を創造したと言えるでしょう。しかし、利益を上げることができなかったのです。

流行品は需要の変動が激しく、急激に需要が拡大したと思ったら、一気に需要が減少します。株式市場で言えば価格変動の激しい仕手株のようなもので、短期間で大きく儲ける機会があると同時に大きなリスクを持っています。さらに悪いことに、株と違って需要が戻る可能性はありません。このような市場においては、市場を頻繁にモニタリングすること、柔軟なサプライチェーンの仕組みを構築すること、迅速な意思決定を行うことが必要になります。
顧客価値創造経営において利益を上げるためには、「評価・改善」のプロセスが回っていなければばらないという一例です。

<商品を変えて危機を乗り切ったヨネックス>
 4月の日本経済新聞の「私の履歴書」の執筆者はヨネックス会長の米山稔さんです。ヨネックスの始まりは家業として木工業を営み、ゲタを製造していたそうです。

米山さんは戦後兵隊から復員すると、遠洋漁業が好調であることに目をつけ、木製の浮きを生産し商売を拡大しました。しかし、ある時木製の浮きの注文が全く来なくなりました。木製の浮きから樹脂製の浮きへと需要がシフトしたのです。木製の浮きは濡れると乾かす必要がありますが、樹脂製の浮きは耐水性があるとともに腐食しません。樹脂製のほうが木製よりも顧客価値が高いということです。

この時、米山さんは必死になって新しい商売を探索し、バトミントンのラケットをOEMで製造することになりました。その後、木製から樹脂製に変わったという体験を踏まえて材料研究に力を入れ、素材の研究開発において先頭を走っているNASAの動向を目配りしたそうです。ラケットの素材が軽くて丈夫な材料を求めて変化してきたことは周知の通りです。

 この例では、一度顧客価値創造に成功しましたが、競合他社のより優れた価値創造の出現により、需要を失いました。しかし、保有する木工技術を生かし、バトミントンラケットという新しい価値提供を行うことができました。さらに顧客価値に影響を及ぼす素材の動向をモニタリングすることで、顧客価値創造のPDCAサイクルを回していったということです。そして、継続的に顧客価値提供の改良を加えることによって、ヨネックスは成長発展することができたのではないかと思います。

【2005年4月18日】
熊木 登/
主任経営コンサルタント
専門領域: ビジネス・プロセスの革新(BPR)をベースにした業務革新の支援、経営の質的向上を図るコンサルティング(経営品質向上、 ISO9001等)、情報システムの企画・設計











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