コンサルタント・メッセージ  




第3回 顧客価値創造経営 − 価値を創造するということ

 「わが社はお客様に製品の製造販売を通して価値を提供しているのだがなかなか儲からない」と悩んでいる経営者の方が多いと思います。そこで、価値提供について、いくつかのパターンを見てみましょう。

@顧客図面に基づく製造加工
 お客様から図面をいただいて製造・加工を行う場合は、図面から製品に変換した部分が価値を生んでいる部分であり、この場合報酬は加工賃のみとなります。

A顧客仕様書に基づく製品の設計・製造
 お客様から要求仕様を聞いて製品を設計し製造する場合は、仕様書から設計図に変換する設計の部分と図面から製品を製造加工する部分が価値を生んでいる部分であり、この場合報酬は設計料と加工賃を合わせたものになります。

B顧客の期待に基づく、新製品の開発
 お客様の期待を把握し、その期待に応えるために製品コンセプトを企画し、コンセプトを具現化するための製品設計を行い製造します。これらの一連の製品開発には、企画、設計、製造の3つの機能により価値を生み、報酬もより高まります。

 いうまでもありませんが、同一製品を前提とした場合お客様に提供する価値の高さは、B>A>@の順番になります。お客様から受け取る報酬も同様です。

<お客様の声無き声を聞く>
 顧客満足を高めるためにはお客様の要求や期待を聞き、それを反映した製品やサービスを提供することが重要です。前述の顧客図面に基づく製造加工も、お客様から設計図という要求事項を聞くことになります。

しかし、難易度にもよりますが、設計図通りの製品を作ることはお客様にとって当たり前のことであり、できなかった時の不満の方が高くなります。ここで何が不足しているかというと、前回お話した独自性という点です。この例では、仮に製造委託が可能な会社が多数あるとすれば、独自性は全く無く価値を創造しているとは言えません。

従って、顧客価値の創造においては、お客様の期待の把握からそれを具体的な製品に変換していくプロセスが重要だということです。さらに、お客様の期待は、顕在化されたものよりも、潜在的な期待に応えるほうが、より創造性が高まります。顕在化された期待に対しては既にそれを満たすための製品を他社が提供している可能性がありますが、潜在的な期待に対しては未充足であるからです。「お客様の声なき声を聞く」ことで潜在的な期待を把握することが、独自性の高い価値創造に結びつきます。

 小林製薬は「“あったらいいな”をカタチにする」をスローガンとして掲げ、ユニークで独創的な製品を開発しお客様に提供することをミッションとしていますが、この企業姿勢は非常に参考になります。

<独自技術による価値創造>
 独自性の高い顧客価値を創造する上でもう一つ重要な要素は、「独自技術」です。新製品を開発して成功した場合、他社にアイデアを模倣した類似製品を出される可能性があります。この時に、価値創造が自社の独自技術に裏付けられたものであれば、他社の模倣から防御することができます。

例えば、花王が発売した「健康エコナオイル」は、体に脂肪が付きにくいという機能性をもった食品で、一般の食用油の数倍で販売されています。ここで独自技術に守られていなければ、すぐに模倣され価格が低下します。しかし、花王は、原料の「ジアシルグリセロール」の製造特許を抑えているため、技術が参入障壁となって模倣を防いでいます。花王のすぐれている点は、基盤技術研究による技術シーズと顧客ニーズを結びつけて製品開発を行っている点です。

【2005年4月6日】
熊木 登/
主任経営コンサルタント
専門領域: ビジネス・プロセスの革新(BPR)をベースにした業務革新の支援、経営の質的向上を図るコンサルティング(経営品質向上、 ISO9001等)、情報システムの企画・設計











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