コンサルタント・メッセージ  




第1回 顧客価値創造経営 (価値提供で利益を向上する)



顧客本位の経営は企業経営の基本的な考え方としてスタンダードになっています。そこで、これから顧客満足を利益に結びつける方法として、「顧客価値創造経営」の考え方に関してお話をします。

<利益の上げ方>
みなさんの会社では利益を向上させるために、どのような取組みを行っていますか。まず、頭に浮かぶのが「改善活動に取組み、コストダウンを図っています。」という答えです。
次に思い浮かぶのが、「売上アップのために、拡販活動に取組んでいます。」という答えです。

非常に基本的なことですが、利益は「売上−費用」で算出されます。売上をさらに分解すると「単価×数量」で算出されます。したがって、利益を向上させる方法は、@コストダウン、A数量アップ、B単価アップの組み合わせが考えら得ます。

統計的に調査をしたわけではありませんが、この3つの利益向上策の中で一番実施率が低いのは、単価アップです。現在の市場経済は競争的であることから、「コスト+利益」による価格設定は通用しないと言われています。そのため、「市場価格−目標利益=コスト」の考え方で、利益を向上するためにコストダウンに取組むという考え方が一般的になっています。

しかし、よく考えてみると、「市場で高く売れるものを開発して売る」という考え方が欠落していると思われます。もし、同じ商品であれば、他より高い価格を設定したら、お客様は買いません。しかし、他の商品よりもお客様が良いと評価した場合には、価格が高くても買う可能性があります。つまり、お客様の価値基準によって評価され価格が決まるのです。

<顧客の受取価値を高める>
マーケティングの大家であるコトラーは、お客様の評価する価値を受取価値として「総顧客価値と総顧客コストの差である」と表現しています。受取価値は次の式であらわされます。

顧客の受取価値 = 総顧客価値 − 総顧客コスト
 = (製品価値+サービス価値+従業員価値+イメージ価値)
 − (金銭的コスト+時間的コスト+エネルギー・コスト+心理的コスト)

この考え方からすると、お客様に提供する製品価値、サービス価値、従業員価値、イメージ価値を高めること、そしてお客様の時間コスト、エネルギー・コスト、心理コストを削減してあげること、いずれかの方法により受取価値を高めることで、お客様はより金銭的コストを負担することになります。
つまり、受取価値を高めることによって、お客様はより高い価格で購入するということです。

<顧客満足を利益に結びつける>
品質マネジメントの国際規格であるISO9001は適用範囲として、品質保証と顧客満足向上を目指す組織に対する要求事項を規定するとしています。

前者の品質保証は、顧客要求事項や法的要求事項を満たした製品を一貫して供給することで、いわゆるクレーム防止を図っていくことです。従来の品質保証や品質管理の活動は、クレームの再発防止や未然防止を図り、規定された要求事項を満たすことに力を注いできたのです。クレームの防止をもって、「顧客満足」と称していた時代がありました。

しかし、今日の「顧客満足」は、製品を提供する企業側が検査によって保証するのではなく、お客様が提供された製品を使用して評価した結果満足したかどうかであらわされます。その場合は、評価の基準は提供側の企業が決めたものではなく、お客様の多様な評価基準によって評価されます。しかも、お客様によって、評価基準の違いがでてきます。
ISO9001の最新バージョンでは、以上のような「顧客満足」の考え方を導入しています。

ここで重要なのは、品質保証は企業の責任として当然のことですが、それだけではお客様は余分なコストを支払はないということです。お客様の受取価値が向上した結果、顧客満足が高まれば、お客様は今まで以上の価格で購入する可能性があります。企業はお客様の期待を実現する受取価値を向上するための活動にもっと力を注ぐべきです。それによって顧客満足が向上し、利益の向上に結びつくのです。

【2005年3月8日】
熊木 登/
主任経営コンサルタント
専門領域: ビジネス・プロセスの革新(BPR)をベースにした業務革新の支援、経営の質的向上を図るコンサルティング(経営品質向上、 ISO9001等)、情報システムの企画・設計。











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