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賃金管理の原則

公立病院をはじめ私立病院の多くは人勧準拠の賃金制度を取っています。それはとりもなおさず"年功型賃金体系"そのものです。即ち、安定的な賃金体系ではありますが、右肩上がりの高度成長段階の時代ならともかく、変化が激しい環境下の時代においては悪平等に陥る性質を持っているわけです。

賃金制度を抜本的に見直す場合はやはり「賃金管理の4原則」に立ち返って考えて見ることが重要なポイントです。

  1. 合理性の原則:各人の賃金決定の基準や条件の根拠は合理的であること 
    "もはや年功型賃金体系に合理性があるであろうか?"
  2. 公平性の原則:同一基準・同一条件の下では同一の取り扱いをすること
    "働きに見合う賃金となっているであろうか?"
  3. 納得性の原則:賃金配分の格差は組織全体で納得されるものであること
    "「こんなもんか」という賃金に陥っていないであろうか?"
  4. 刺激性の原則:働き甲斐や動機付け等のインセンティブが感じられること
    "元気が出る賃金となっているであろうか?"

    以上の観点から原理原則を踏まえた賃金制度の再構築が求められているのです。

賃金体系

賃金体系とは、職員各人の賃金決定の要素と基準のことです。即ち、賃金配分のルールをどう持つかということでもあります。これまで「役割等級制度」「目標管理制度」「人事考課制度」等のところで述べてきたことを踏まえて賃金体系を検討しなければなりません。特に基本給の体系は次の併存型体系が望ましいです。

職責給
まず第一に、職種別の役割を基準とした賃金要素を設定することが必要です。即ち、"職責給"を持つということです。"職責給"とは、担当する役割についての労働の対価とその役割の達成度に基づく賃金をいいます。従って、職責給は"役割給"という仕事別の賃金と役割の達成度についての"業務給"が合成された体系なのです。
 職責給の運用のタイプとしては、原則として定昇制度を持たず職別かつ役割等級別の評価替の賃金であり、「いくら上がるか」というのではなく「実績によっていくらもらうか」という賃金です。これを賃金表によって管理するわけですが、一例を示すと次の表の通りです。

<職責給イメージ(職種別)>

キャリア給
第二に、職種別の実務経験を基準とした賃金要素を設定することです。即ち、"キャリア給"を持つということです。"キャリア給"とは、職員の該当職種の実務経験に基づく賃金をいいます。特に、病院の職種は専門職種で雇用の流動性が比較的高く、例えば大学病院に勤めたり、あるいは日赤病院に勤めたりして複数の病院でキャリアを積んでいる職種という特徴を持っています。従って、"キャリア給"は所属する病院の内外を問わず実績を積んだ一定の年数をベースに支給する賃金です。
 キャリア給の運用のタイプとしては、原則として一定の実務経験年数に基づく定昇制度を持った職種別賃金であり「いくら上がるか」という賃金です。
 
<キャリア給イメージ>



賃金の支給形態(年俸制について)

賃金制度のもう一つの条件として"支給形態"があります。賃金の支給形態とは、賃金決定の期間の単位(月単位か年単位か等)と支払方法のことをいいます。特に、医師の賃金という場合に"年俸制"ということが検討の対象となってきます。年俸制とは、業績的色彩を持った年間で決定される賃金ということでありますが、賃金体系のところで述べた通り職責給を基本給に持つということは年俸制を採ることも可能な賃金体系となっているのです。
年俸制の特徴として、次のことを念頭に導入するか否かを検討する必要があります。

  • 経営業績に関連させた賃金という意識付けがやりやすい
  • 昇給管理(いくら上がるか)よりも絶対額管理(いくらもらうか)がやりやすい
  • 採用市場の賃金相場に合わせた水準管理がやりやすい
  • 業績評価を適切にやることを前提とする賃金である
  • 評価替の賃金については、賃金のアップ・ダウンを前提とする賃金である

次に、年俸制における支払方法として、毎月の支給額をどうするか、また賞与時や決算時の支給はどうするのかの検討をし、そのルールを設定します。


賞与

賞与については、賃金の後払いという色彩を排除し、できる限り業績配分という色彩を取り入れることがポイントです。
賞与の検討に当たっては、「賞与原資の管理」と「賞与配分の管理」の2つの検討分野があります。
「賞与原資の管理」とは、職員一人ひとりの平均賞与額をいくらにするかということです。当然、賞与原資は病院の経営業績を反映させることは言うまでもありません。即ち、賞与原資は、人件費管理という観点からもコントロールできる条件を持っていなければなりません。

「賞与配分の管理」とは、賞与原資を職員一人ひとりにどういうルールで配分するかということです。そのために「同一役割・同一業務・同一賞与額」という原則を持つことがポイントです。従って、賞与の算定に当たっては、次の賞与計算方式により基本給にリンクさせず賞与独自で管理できるルールを持つことです。

各人の賞与額=各職種の役割等級の成績別ポイント×単価

<医師職の役割等級の成績別ポイント表>単位:千円
資格/成績 B+ B−
5等級 省略
4等級 341 315 289 263 237 211 185
3等級 262 242 222 202 182 162 142
2等級 222 205 188 171 154 137 120
1等級 181 167 153 139 125 111 97
注1) 各職種の役割等級の成績別ポイント
注2) 単価=賞与原資÷全職員の役割等級の成績別ポイントの総合計

 


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